守神様の想い人
冬の森に行くために、ガイルとリジュアが支度するなか、サァラの様子はかなり悪くなっていた。
ベッドから起きあがれなくなっていたのだ。
「サァラ………。少しずつでも何か口にしないと。」
ミアがスープを飲まそうとするが、飲み込めなくてむせてしまった。
「大丈夫かい?サァラ。」
「ごめんね。お母さん。」
そう弱々しく言ってサァラは笑って見せようとするが、その目は虚ろで何も見てないかのようだ。
「サァラ………。お前、いったいどうしたんだい?」
ミアがサァラの頬に手をあててみると、とても冷たかった。
「お母さん、サァラはどう?」
支度を一通り済ませたリジュアが様子を見にきた。
しかし、サァラの生気を失った表情に顔が曇る。
「サァラ、元気出しなさいよ。私が守神様のとこに言って、あんたが元気になるようにお願いしてきてあげるから!」
「守………神………………さ、ま?」
そう言ったきり、サァラは目を閉じた。
「サ、サァラ?」
心配したリジュアはサァラの手をとった。
しかし、サァラは眠ったのか、何の反応もしなかった。
「お母さん、サァラのこと頼むわよ。私が絶対に守神様にお願いして、元のサァラに戻してもらうから。」
リジュアの決意のにじんだ目に、ミアは黙ってうなづく。
そして、次の朝早くにガイルとリジュアは森へ向かった。
サァラはほとんど目を開けず、ミアはつきっきりでサァラを見ていた。
みるみる弱っていく様は、まるでサァラ自身が生きることを諦めているかのように思えた。
「サァラ………。」
ミアの呼びかけは聞こえているのか、いないのか、サァラはピクリとも動かなかった。
その頃、リジュア達は森の入り口に来ていた。
村を出発するときは晴れていたはずなのに、森に近づくほど暗い雲が厚くなっていく。
「なんだか変ね?まるで、誰か来るのを拒んでるみたい。」
リジュアが言うと、
「気を引きしめていかないとな。離れるなよ、リジュア。」
リジュアがうなづき、二人は森へと足を踏み入れた。
入り口にはまだ雪はなかったが、木々の間をを縫いながら風がうなり、凍えそうな寒さが二人を襲った。
それでも、ガイルを先頭に休まず歩き続ける。
時おり獣の鳴き声が響いたが、幸い、襲ってくることはなかった。
「リジュア、大丈夫か?」
「ええ、平気よ。」
リジュアは笑ってみせる。
そんなリジュアを見て、ガイルも微笑んだ。
森の中ほどまで入ってくると、あちらこちらに雪溜りもあり、ぐんと寒さがました。
止まってしまえばそのまま凍りつきそうな寒さに、二人は一生懸命歩く。
「雪はまだなかったとはいえ、こんな道をサァラは一人で歩いたのかしら。」
昼でも薄暗く、見渡す限り鬱蒼とした樹々しか見えない。
「よほど、会いたかったんだろうな………。」
「そうね………。」
サァラの思いを噛みしめるように歩を進めるが、荒れた森はなかなか思うようには歩けない。
しかも、二人の目の前に思いもよらない障害物が横たわっていた。
「な、なんなの?」
「なんて、大きな樹なんだ………!」
倒れたのであろう、横たわる古木はあまりにも大きく、乗り越えられそうになかった。
「しかたない、回るしかないな。」
古木に沿って歩きだしたが、端が見えないほどの巨木だった。
「方角を間違わないように進まないとな。」
二人が巨木の末端にたどり着き、また、目指す場所へと向きをかえたときだった。
冷え込む体に追い討ちをかけるように雪が降り始めた。
ガイルが空を睨んで苦々しそうに言う。
「むやみに歩いたら危ない。雪をしのげそうな場所を探そう。」
こうしてる間にもサァラにもしものことがあったら………。リジュアの気持ちは急いたが、自分達が守神様のところへ無事にたどり着けなければ意味がないことは重々わかっていた。
「わかった。少し体を休めましょう。」
二人は少し歩いたところで、大きな木の根元に洞を見つけ、体を寄せあって座り込んだ。
持ってきた食料を取りだし、分けあいながらかじる。
「サァラ、大丈夫かしら?」
「お母さんがついてる。きっと、大丈夫だ。」
ガイルが力強く言って、リジュアの肩を抱き寄せた。
あたりが霞むほどの雪を洞から見ながら、二人はしばらくじっと寒さに耐えていた。
「少し雪が弱くなったな。あまり長くここにいるのも危ない、様子を見ながら進もう。」
先に洞を出て、あたりをうかがったあとリジュアに手を差し出したガイルに捕まりながら、リジュアが小さく囁いた。
「ガイル、ありがとう。」
「なんだよ、リジュア。まだ、守神様の所にも着いてないぞ。」
照れながらガイルが笑う。
「うん。でも言いたかったの。ガイルが側にいてくれて嬉しかったから。」
「リジュア………。」
ガイルはそっとリジュアを抱きしめた。
「ガイル………大好きだよ。」
「俺も………、愛してる。いつも側にいる。」
「うん。」
顔を見合わせてクスリと笑い合った。
雪はまだ降りつづいていたが、二人は迷わず森の奥をめざして歩き出した。
その頃、サァラは目を覚ましていた。
「気分はどうだい?サァラ?」
ミアが心配そうに尋ねると、サァラはミアを見て微笑んだ。
「お母さん、ごめんね。心配かけて………。」
弱々しく言うサァラはもはや、瞼を開けているのも辛いのか、再び目を閉じた。
「サァラ………。何か飲むかい?」
その問いにサァラの返事は返ってこない。
「サ、サァラ?」
ミアが不安になりながらサァラの手をとった。
サァラはまた眠ったようだったが、起きている時間が短くなっていくのをミアは敏感に察していた。
(ガイル………、リジュア………、頼むよ。)
ミアは祈らずにはいられなかった。
「そろそろのはずなんだが………。」
足元の悪さと雪で時間をとられ、森の聖地と呼ばれる辺りに着いたころはもう夕闇が迫っていた。
「あ………、あそこ、なんだか少し明るいわ。」
二人は離れた前方にポッカリと開けたところを見つけて目指す。
「きっと、あそこがサァラとお母さんが守神様にお会いした聖地よね。」
「そうだといいが………、リジュア、そこの足元気をつけろ。」
気のはやるリジュアをガイルが諭す。
そうするうちに、二人は開けた場所にたどり着いた。
「ここ………、なのかしら?」
頼りなげな声を出すリジュアに力強くガイルが答える。
「間違いない。サァラ達が乗せられてきた輿があるぞ。」
二人は輿に目をやってから見合わせた。
「どうしたら守神様にお会いできるのかしら?」
「サァラ達の時は守神様から姿を現せて下さったって言ってたがな………。」
辺りを見渡しながら待ってみるが、何の気配もない。
辺りはすでに日が暮れかけていた。
「とりあえず、火をおこさないとな。」
荷物をおろしたガイルを背に、リジュアが大声をあげた。
「守神様っ!!」
「リジュア!?」
驚くガイルをしり目にリジュアは続けた。
「サァラの姉のリジュアと申します!お願いがあって参りました!守神様!どうか、お姿をお見せください!」
リジュアの声が森に響いて、すぐまた静かになる。
リジュアがもう一度口を開けようとした時だった。
辺りに光が溢れだし、気がつけば、リジュアとガイルは光の中に包まれていた。
驚きのあまり、声も出せずにいるリジュアの腕を立ち上がったガイルがしっかりとつかんで引き寄せた。
「あ………!」
二人の目の前にはいつの間にか、まぶしい光の中、開かれた扉が現れていた。
「これ、お母さんが言ってた………、守神様の?」
ガイルとリジュアはうなずきあって二人で中へと入った。
『よく、この冬の森にやってきたね。そのまま奥まで来てくれるかい?』
美しくて優し気な声が聞こえ、守神様の存在を確信した二人は奥まで入っていった。
奥の開かれた扉を入ると、長い髪を輝かせた美しい守神様が長椅子に横たえていた。
『すまないね。少し元気がでなくて………。さぁ、外は冷えただろう?どうぞ。』
テーブルにはいつの間にか二人分の温かい飲み物が置かれていた。
二人は驚いたが、リジュアはその場に膝まづき守神様に懇願した。
「守神様!お願いです!サァラをお助けください!」
ガイルもリジュアの側に膝まづいた。
守神様は驚いた顔になり、長椅子から体を起こす。
『サァラの姉と言ったね?』
「はい。私はサァラの姉のリジュア。彼は私の婚約者のガイルです。」
守神様はうなづき、慌てた様子で立ち上がった。
『リジュア、ガイル………、サァラになにかあったんだね?今すぐにサァラの元へ行こう。話は後で!さぁ、手を。』
リジュアとガイルは戸惑いながら守神様に手を差し出した。
すると、目の前が霞み、体が浮く感じがしたと思ったら、次には見覚えのある部屋にいた。
「リジュア!ガイル?ああっ、守神様!」
ミアの驚いた顔を見て、リジュアとガイルも驚いた。
三人が驚いているのを横に、守神様はサァラの手をとり頬に手をあてている。
『サァラ?サァラ!いったいどうして………?』
今にも泣きそうな声で守神様がサァラの額に顔をあてた。
「守神様………。」
うしろでミアが思わず声をかけた。
『ミア………、ああ、とりあえずサァラを私の屋敷へ。みんなも一緒に来て。』
守神様はサァラを抱き上げると、三人に自分の体に触れるように促し、屋敷へともどった。
守神様はベッドにサァラを横たえさせると、そっと手を握った。
それと同時に驚いたように声をあげる。
『これは?!』
手に握ったサァラの左手の、小指にあるアザに気がついたのだった。
『このアザが消えてないということは………、サァラ、君は………!!』
守神様の目からは溢れるように涙がこぼれて頬を伝った。
その様子を見ていた三人は茫然と見守っている。
しばらくサァラに寄り添うようにして涙を流していた守神様が三人に振り返って言った。
『すまない………。サァラがこんなになってしまったのは全部私のせいだ。ミア、リジュア、ガイル………、すまない。』
三人はわけがわからず顔を見合わせる。
守神様はサァラの方へ視線をもどし、手を握ったまま話し出した。
ベッドから起きあがれなくなっていたのだ。
「サァラ………。少しずつでも何か口にしないと。」
ミアがスープを飲まそうとするが、飲み込めなくてむせてしまった。
「大丈夫かい?サァラ。」
「ごめんね。お母さん。」
そう弱々しく言ってサァラは笑って見せようとするが、その目は虚ろで何も見てないかのようだ。
「サァラ………。お前、いったいどうしたんだい?」
ミアがサァラの頬に手をあててみると、とても冷たかった。
「お母さん、サァラはどう?」
支度を一通り済ませたリジュアが様子を見にきた。
しかし、サァラの生気を失った表情に顔が曇る。
「サァラ、元気出しなさいよ。私が守神様のとこに言って、あんたが元気になるようにお願いしてきてあげるから!」
「守………神………………さ、ま?」
そう言ったきり、サァラは目を閉じた。
「サ、サァラ?」
心配したリジュアはサァラの手をとった。
しかし、サァラは眠ったのか、何の反応もしなかった。
「お母さん、サァラのこと頼むわよ。私が絶対に守神様にお願いして、元のサァラに戻してもらうから。」
リジュアの決意のにじんだ目に、ミアは黙ってうなづく。
そして、次の朝早くにガイルとリジュアは森へ向かった。
サァラはほとんど目を開けず、ミアはつきっきりでサァラを見ていた。
みるみる弱っていく様は、まるでサァラ自身が生きることを諦めているかのように思えた。
「サァラ………。」
ミアの呼びかけは聞こえているのか、いないのか、サァラはピクリとも動かなかった。
その頃、リジュア達は森の入り口に来ていた。
村を出発するときは晴れていたはずなのに、森に近づくほど暗い雲が厚くなっていく。
「なんだか変ね?まるで、誰か来るのを拒んでるみたい。」
リジュアが言うと、
「気を引きしめていかないとな。離れるなよ、リジュア。」
リジュアがうなづき、二人は森へと足を踏み入れた。
入り口にはまだ雪はなかったが、木々の間をを縫いながら風がうなり、凍えそうな寒さが二人を襲った。
それでも、ガイルを先頭に休まず歩き続ける。
時おり獣の鳴き声が響いたが、幸い、襲ってくることはなかった。
「リジュア、大丈夫か?」
「ええ、平気よ。」
リジュアは笑ってみせる。
そんなリジュアを見て、ガイルも微笑んだ。
森の中ほどまで入ってくると、あちらこちらに雪溜りもあり、ぐんと寒さがました。
止まってしまえばそのまま凍りつきそうな寒さに、二人は一生懸命歩く。
「雪はまだなかったとはいえ、こんな道をサァラは一人で歩いたのかしら。」
昼でも薄暗く、見渡す限り鬱蒼とした樹々しか見えない。
「よほど、会いたかったんだろうな………。」
「そうね………。」
サァラの思いを噛みしめるように歩を進めるが、荒れた森はなかなか思うようには歩けない。
しかも、二人の目の前に思いもよらない障害物が横たわっていた。
「な、なんなの?」
「なんて、大きな樹なんだ………!」
倒れたのであろう、横たわる古木はあまりにも大きく、乗り越えられそうになかった。
「しかたない、回るしかないな。」
古木に沿って歩きだしたが、端が見えないほどの巨木だった。
「方角を間違わないように進まないとな。」
二人が巨木の末端にたどり着き、また、目指す場所へと向きをかえたときだった。
冷え込む体に追い討ちをかけるように雪が降り始めた。
ガイルが空を睨んで苦々しそうに言う。
「むやみに歩いたら危ない。雪をしのげそうな場所を探そう。」
こうしてる間にもサァラにもしものことがあったら………。リジュアの気持ちは急いたが、自分達が守神様のところへ無事にたどり着けなければ意味がないことは重々わかっていた。
「わかった。少し体を休めましょう。」
二人は少し歩いたところで、大きな木の根元に洞を見つけ、体を寄せあって座り込んだ。
持ってきた食料を取りだし、分けあいながらかじる。
「サァラ、大丈夫かしら?」
「お母さんがついてる。きっと、大丈夫だ。」
ガイルが力強く言って、リジュアの肩を抱き寄せた。
あたりが霞むほどの雪を洞から見ながら、二人はしばらくじっと寒さに耐えていた。
「少し雪が弱くなったな。あまり長くここにいるのも危ない、様子を見ながら進もう。」
先に洞を出て、あたりをうかがったあとリジュアに手を差し出したガイルに捕まりながら、リジュアが小さく囁いた。
「ガイル、ありがとう。」
「なんだよ、リジュア。まだ、守神様の所にも着いてないぞ。」
照れながらガイルが笑う。
「うん。でも言いたかったの。ガイルが側にいてくれて嬉しかったから。」
「リジュア………。」
ガイルはそっとリジュアを抱きしめた。
「ガイル………大好きだよ。」
「俺も………、愛してる。いつも側にいる。」
「うん。」
顔を見合わせてクスリと笑い合った。
雪はまだ降りつづいていたが、二人は迷わず森の奥をめざして歩き出した。
その頃、サァラは目を覚ましていた。
「気分はどうだい?サァラ?」
ミアが心配そうに尋ねると、サァラはミアを見て微笑んだ。
「お母さん、ごめんね。心配かけて………。」
弱々しく言うサァラはもはや、瞼を開けているのも辛いのか、再び目を閉じた。
「サァラ………。何か飲むかい?」
その問いにサァラの返事は返ってこない。
「サ、サァラ?」
ミアが不安になりながらサァラの手をとった。
サァラはまた眠ったようだったが、起きている時間が短くなっていくのをミアは敏感に察していた。
(ガイル………、リジュア………、頼むよ。)
ミアは祈らずにはいられなかった。
「そろそろのはずなんだが………。」
足元の悪さと雪で時間をとられ、森の聖地と呼ばれる辺りに着いたころはもう夕闇が迫っていた。
「あ………、あそこ、なんだか少し明るいわ。」
二人は離れた前方にポッカリと開けたところを見つけて目指す。
「きっと、あそこがサァラとお母さんが守神様にお会いした聖地よね。」
「そうだといいが………、リジュア、そこの足元気をつけろ。」
気のはやるリジュアをガイルが諭す。
そうするうちに、二人は開けた場所にたどり着いた。
「ここ………、なのかしら?」
頼りなげな声を出すリジュアに力強くガイルが答える。
「間違いない。サァラ達が乗せられてきた輿があるぞ。」
二人は輿に目をやってから見合わせた。
「どうしたら守神様にお会いできるのかしら?」
「サァラ達の時は守神様から姿を現せて下さったって言ってたがな………。」
辺りを見渡しながら待ってみるが、何の気配もない。
辺りはすでに日が暮れかけていた。
「とりあえず、火をおこさないとな。」
荷物をおろしたガイルを背に、リジュアが大声をあげた。
「守神様っ!!」
「リジュア!?」
驚くガイルをしり目にリジュアは続けた。
「サァラの姉のリジュアと申します!お願いがあって参りました!守神様!どうか、お姿をお見せください!」
リジュアの声が森に響いて、すぐまた静かになる。
リジュアがもう一度口を開けようとした時だった。
辺りに光が溢れだし、気がつけば、リジュアとガイルは光の中に包まれていた。
驚きのあまり、声も出せずにいるリジュアの腕を立ち上がったガイルがしっかりとつかんで引き寄せた。
「あ………!」
二人の目の前にはいつの間にか、まぶしい光の中、開かれた扉が現れていた。
「これ、お母さんが言ってた………、守神様の?」
ガイルとリジュアはうなずきあって二人で中へと入った。
『よく、この冬の森にやってきたね。そのまま奥まで来てくれるかい?』
美しくて優し気な声が聞こえ、守神様の存在を確信した二人は奥まで入っていった。
奥の開かれた扉を入ると、長い髪を輝かせた美しい守神様が長椅子に横たえていた。
『すまないね。少し元気がでなくて………。さぁ、外は冷えただろう?どうぞ。』
テーブルにはいつの間にか二人分の温かい飲み物が置かれていた。
二人は驚いたが、リジュアはその場に膝まづき守神様に懇願した。
「守神様!お願いです!サァラをお助けください!」
ガイルもリジュアの側に膝まづいた。
守神様は驚いた顔になり、長椅子から体を起こす。
『サァラの姉と言ったね?』
「はい。私はサァラの姉のリジュア。彼は私の婚約者のガイルです。」
守神様はうなづき、慌てた様子で立ち上がった。
『リジュア、ガイル………、サァラになにかあったんだね?今すぐにサァラの元へ行こう。話は後で!さぁ、手を。』
リジュアとガイルは戸惑いながら守神様に手を差し出した。
すると、目の前が霞み、体が浮く感じがしたと思ったら、次には見覚えのある部屋にいた。
「リジュア!ガイル?ああっ、守神様!」
ミアの驚いた顔を見て、リジュアとガイルも驚いた。
三人が驚いているのを横に、守神様はサァラの手をとり頬に手をあてている。
『サァラ?サァラ!いったいどうして………?』
今にも泣きそうな声で守神様がサァラの額に顔をあてた。
「守神様………。」
うしろでミアが思わず声をかけた。
『ミア………、ああ、とりあえずサァラを私の屋敷へ。みんなも一緒に来て。』
守神様はサァラを抱き上げると、三人に自分の体に触れるように促し、屋敷へともどった。
守神様はベッドにサァラを横たえさせると、そっと手を握った。
それと同時に驚いたように声をあげる。
『これは?!』
手に握ったサァラの左手の、小指にあるアザに気がついたのだった。
『このアザが消えてないということは………、サァラ、君は………!!』
守神様の目からは溢れるように涙がこぼれて頬を伝った。
その様子を見ていた三人は茫然と見守っている。
しばらくサァラに寄り添うようにして涙を流していた守神様が三人に振り返って言った。
『すまない………。サァラがこんなになってしまったのは全部私のせいだ。ミア、リジュア、ガイル………、すまない。』
三人はわけがわからず顔を見合わせる。
守神様はサァラの方へ視線をもどし、手を握ったまま話し出した。