守神様の想い人
『気づいていると思うけれど、私がサァラから私の記憶を消したんだ。』

サァラの手を握り見つめながら、サァラが一人で訪れたときに、海を見ながら話したことをそのまま三人にも話して聞かせた。

『サァラから私の記憶を消して、元の人としての生(せい)の営みに戻すことが、サァラの幸せだと思ったんだ。

人として生まれたものは、様々な喜びや悲しみ、怒りや楽しみを味わって生きることこそが幸せだ………。

それに、サァラやミア、リジュアもガイルもその生、一度限りの繋がりじゃない。

みんな生まれかわり、かかわり合って生きているんだよ。

時には愛し合い。時には憎しみ合うこともあるけれど、それすらも人としての尊い学び、経験………、強いて言えば、それこそが幸せなんだ。

私がサァラの生に関わらなければ、彼女はもっと幸せになれるんだと………、そう思ったんだ。

彼女が幸せでいてくれれば………、それで良いと思ったのに………。でも、私が浅はかだった………。

………………………………。

サァラのこの指のアザはね、サァラが最初に私の元を去らなければならなくなったときにサァラ自身がつけた傷なんだ。

逝く時を迎えたサァラは、何も出来ずに悲しみに沈む私のことを心配して、絶対に忘れない、何度生まれ変わっても会いに来る。………そう言って、自分で傷つけたんだ。

この傷はその証しで、サァラが私を想い続けている限り決して消えることはない………と言って………。

そして、サァラは本当に生まれ変わる度に私に会いに来てくれた。

指の傷もアザとなって何度生まれ変わっても消えることはなかった。

………………そして、今も消えてない………。

サァラから私の記憶を消し去るなんてこと、最初から出来なかったんだ。

こんなにもサァラは………、私のことを想っていてくれたんだから………。』

ミアも、リジュアも、ガイルも何も言えなかった。

守神様もまた、サァラを愛していることが痛いほどわかったから。

『許してくれるかわからないけれど………、サァラの記憶を元に戻すよ。』

三人は喜んで笑顔を見せた。

守神様はその笑顔を見て、微笑んだ。

『それから、私のわがままをきいて欲しいんだけど………。それは、サァラが元気になったらにするよ。』

「私たちにできることなら、なんでもきいてさしあげますよ。」

ミアが笑う。それから、リジュアとガイルもうなづいた。
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