守神様の想い人
守神様は微笑むと、サァラの手を包みこんだ。

とたんに光がサァラを包み、部屋全体に広がったあと静かに消えた。

『あとは、ここに居れば体は元気になるはずだよ。』

「よかったぁ~っ!」

思わず声をあげ、ガイルを抱きしめたリジュアを見た守神様は羨ましそうに微笑んだ。

『リジュアは素直だね。』

キョトンとするリジュアを見ながら、ガイルが嬉しそうにうなづいた。

『私も素直になっていいだろうか?』

リジュアが驚いたような顔をして守神様を見つめ、そして大きくうなづいた。

「もちろんですよ!サァラもそのほうが喜びます。守神様!」

「リジュア。」

ミアが眉をしかめてたしなめた。

その様子を見ていた守神様がサァラの手を握ったままミアを見て首を横に振った。

『ミア。私がもっと早く素直になっていれば、サァラを………、みんなも………、こんなに苦しませずにすんだはずだ。私は本当に愚かだ。』

「守神様………。」

ミアはリジュアと眉をしかめて顔を見合わせた。

サァラを見つめていた守神様はそのことには気づかずに話をつづけた。

『ミア、リジュア、ガイル、………………心配だとは思うけど、私にサァラを預けてくれないかな?二人きりで話がしたいんだ。もちろん、サァラがちゃんと回復してからにするから。』

今度は三人で顔を見合わせて、満足気にうなづく。

「守神様、サァラをどうぞよろしくお願いします。」

ミアが笑顔で言ったあと、リジュアもガイルもうなづいた。

『ありがとう。』

守神様も嬉しそうに微笑んだ。

その時、サァラが目を覚ました。

「も………、守神、さ………………!」

サァラの目からは途切れることなく涙が溢れだした。

『サァラ、すまなかった。』

守神様はサァラの手を握り、切な気な声で謝った。

「サァラ………。」

リジュアが声をかけた。

「リジュア。お母さん。ガイル。………………ここは………。」

「守神様のところだよ。ガイルとリジュアが守神様にお前のことを知らせに来てくれたんだよ。」

ミアが穏やかに微笑みながら話しかけた。

「じゃあ、俺達は帰ろうか。」

「そうね。サァラ、守神様にうんと甘やかしてもらいなさい。」

リジュアがニヤニヤしながら言うと、ミアが小さく咳払いをした。

守神様はサァラの頭をそっと撫でながら話しかけた。

『サァラが元気になったら話があるんだ。それまで私がサァラの側にいていいかい?………………二人きりで。』

小さくうなづいたサァラの頬にわずかに赤みがさしたような気がした。

『ミア達を送る前に、少し話す?』

コクンとサァラがうなづいたのを見て、守神様は衣擦れの音をさせながら立ちあがり、ミア達と場所をかわった。

「サァラ。」

ミアが微笑みながらサァラの手を握り話しかけた。

「お母さん………。」

サァラの涙を手でぬぐってやりながら、ミアは優しく微笑んだ。

「何にも心配しないで、早く元気になるんだよ。」

リジュアとガイルも微笑んだ。

「サァラ………………。」

言いたいことはたくさんあったが、うまく言葉に出来ず、リジュアは困ったように苦笑いした。

そんなリジュアの頭に手をやりながら、ガイルが吹き出した。

「さっきまでの元気はどこに行ったんだよ、リジュア。………サァラ、母さんとリジュアのことは俺に任せて、ちゃんと元気になるんだぞ。」

サァラは目を閉じて笑いながらうなづいた。

「じゃあ、守神様………、サァラをお願いします。」

ミアが守神様に声をかけた。

守神様はゆっくりうなづき、三人の手をとった。

『サァラ、三人を送ってくるよ。少し待ってて。』

サァラが笑ってうなづくと、みんなは口々に短い別れの言葉を口にして見えなくなった。



「はぁーっ!これは馴れないわ!」

家まで送ってもらったリジュアが思わず声をあげる。

ミアもガイルもこれには同意らしく、苦笑いした。

『フフフ、そうかい?』

笑う守神様に三人も笑ってお礼を言った。

「守神様、あの………、」

お礼の言葉のあと、リジュアが言いかけたことをもう知っていたかのように守神様が話し出す。

『サァラが元気になったら、私の願い事をきいてもらいにくるよ。きっと、すぐだよ。』

クスリと笑うリジュアにミアとガイルも笑いながらうなづき、守神様も笑って、その姿を消した。

もうすっかり夜更けになって暗い家の中で、窓のすき間から月が落とす薄明かりを頼りに、ミアがランプを灯す。

「守神様って、案外………お可愛らしい方だったわね。」

灯ったランプを見ながらほっこりリジュアがそう言うと、

「失礼だよ。守神様にそんな言い方………。」

なんて言いながらミアも微笑んでいた。

「しかし、サァラがあんな綺麗な守神様と恋仲だったなんてなー………、他の男に見向きもしなかったわけだよ。」

それを聞いたリジュアとミアは顔を見合わせて笑いだした。

「本当ね………、ふふ………。」

そこには安心しきった三人の笑顔があった。
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