エキストラヒロイン
学年の中でも三本の指に入るほど可愛いと噂の中条さん!
「いやぁ、あはは…」
「あたしでよければ手伝わせてくれないかな?」
「ああ、結構です」
はい、出ました。
人に不快感を与えないように“手伝わせてくれないかな”とお願いするような言い回しを使ったいい子ちゃんアピール。
こっちはお前の点数稼ぎで重い紙の塊持ってるんじゃないんだ!
可愛い上に人助けが趣味とかほざいてる暇あるなら、そこらへんの芋男の一人や二人引っ掛けてきやがれ!
ばーか!
「でも辛そうだし、やっぱり半分あたしが持つよ?」
「ああ、本当に大丈夫です。ついこの間、80kgの巨体をダンベル代わりにして筋トレしてたんで気にし、」
「やべぇ!山田ゴリラじゃん!」
傍にいたらしい同じクラスの男子が騒ぎ始めた。
「いやいや、嘘だから…」
「超面白いんだけど!山田の腕力やべーんだって!こいつ片手で逆立ちしながらハンマー投げできるらしい!」
「待って!?話盛りすぎじゃない!?」
「まじかよ山田ー」
「女子怖ぇー」
「おいおい勘弁してくれよヤマダゴリラ!」
どこかのアホがふざけて冗談を広げたおかげで、周りの男子たちも面白半分でいじってくる。
「新種のゴリラみたいに言っ…わな…」
そう言いかけて、あたしは気付く。