エキストラヒロイン
【作戦 その4】
ライバルを蹴落とそう。
これまでの作戦を振り返って学んだことがある。
それは、ライバルの存在がいかに邪魔か、ということを。
手段を選んでる場合じゃなくなってきたあたしとしては、こういう姑息な策しか思い浮かばなくなってきた。
「いざ出陣!」
「行ってらっしゃーい」
休み時間になった途端、瞬間移動をしたかのごとく来栖くんの周りに現れる取り巻きたち。その中に文香たちもいるけどこの際、もう関係ない。
ひらひらと手を振って見送ってくれる公ちゃんに敬礼し、足を踏み出す。
突っ込めー!!
戦じゃー!!
「へぶしっ」
女子様の鉄壁の壁を打ち破ることができず、割り込もうとするあたしの顎を誰かの肘がクリーンヒットし、後ろに弾かれる。
そのせいで後ろにあった机を思いっきり踵で蹴ってしまった。
「あ…」
小さな声を漏らしたのは、その席に座っていた女の子。
その床の下には筆箱の中身や教科書が散らばっていた。
やっちまった。
「ご、ごめん。大丈夫?」
「…だっ…大丈夫です…」
この子、たしか四ツ谷さんだったっけ。
友達がいないのかわからないけど、いつも独りで本読んでるし、陰キャラって感じであんまり話したこともないから、声を聞くのも初めてかもしれない。