エキストラヒロイン
他の人が話しかけても常におどおどしてるし、正直、四ツ谷さんのことはあんまり好きじゃないんだよなぁ。
それにしても、来栖くんの後ろの席だったんだ。
「ほんとごめんねー」
適当に謝って、落としてしまったペンを拾う。
「気にしないで…ください…、よくあることなので」
へらっと四ツ谷さんが笑った。
眼鏡で三つ編みなんてどこの昭和娘かと思ってたけど、よくみるとレンズの奥はぱっちり二重で睫毛も長い。
前髪が長くて重たいからか、今まであまり顔を見たことがなかったけど、この子相当可愛いんじゃないか。
地味な女の子が実は可愛いとか。
まさに、王道ヒロインじゃん。
「よくあることって…」
きっと来栖くんを囲んでいる女子が、さっきのあたしみたいに何かの拍子にぶつかったりしてしまうことが多いんだ。
全然気にもしなかった。
「………ごめんなさい。ありがとう、ございます」
「いや、あたしのせいだし、お礼はいいよ」
「で、でも…山田さんは…悪くないし…、ごめんなさい」
あ。
あたし、四ツ谷さん嫌いだ。