エキストラヒロイン
「貴方は…来栖王子!?」
「黙って足動かせ」
「むごぉ」
首を絞めていた腕はあたしの口を塞ぎ、止まることなくどこかへ連れ去られてしまった。
来栖くんだと知った今、不安は吹っ飛び有頂天。
も、もしかして取り巻きの団体から急にあたしの姿が消えて、どこに行ったのか気になって探しに来てくれたとか!?
山田の存在の大きさをようやく実感してきてくれた!?
「山田」
「ぷはっ…、はい!」
息苦しい空間から解放された場所は、誰もいない休憩室。
来栖くんは椅子に腰を下ろす。
「水」
「へ?」
「買ってこい」
「…え?」
いまいち状況を把握できていないあたしの手に、来栖くんは小銭を握らされる。
「………俺への返事は?」
普段とは段違いに不機嫌な来栖くん。
「ハイ!!」
受け取ったお金を大事に両手で守り、来栖くんのお水を調達すべく全力疾走で飛び出した。