エキストラヒロイン
あたしが買ってきたお水を飲んで、ふうと力が抜けたように息をつく来栖くん。
か、可愛い。
「やっと一人になれた…」
「ちょっと!山田もいるよ!」
「はぁ…」
「溜息つかないでよ!!ひどい!!」
「喚くな、うるさい」
「あたしを連れてきたのは来栖くんじゃん!」
その反抗に、来栖くんは顔を逸らした。
勝った!
このあたしを必要としたのは来栖くんのほうなんだから、口答えくらいさせてくれないとね!
「もう用済みだから。いらない」
「えぇ!?」
「イルカショーでも行ってこいよ」
「観に行こうとしたのに、あたしを攫ってきたのは来栖くんでしょ!?あたしと会いたかったんでしょ!?そんなに冷たくする必要なくない!?」
「は?」
完全に裏モードに切り替わった来栖王子は、虫の居所が悪いようで、鋭い目つきであたしを睨んでくる。
その威圧感に体を小さくした。
「な、なに?」
「俺が山田に会いたくなるとか…、絶対ないから」
「じゃあなんであたしを引っ張ってきたの!?」
「奴隷が主人のために働くのは当然だろ」
「そんな理由で!?」
「他に何があるわけ?」
あるでしょ!たくさん!
自分を追いかけていた女が突然いなくなって、どうしたのか気になって気になって、そのうちに恋心が芽生えてきたり!
他の男に目移りしていないかとか!