朝はココアを、夜にはミルクティーを


フードがないコートだからしょうがない。
犬みたいに頭を振っていると、彼は私の頭に積もった雪も優しく手で払ってくれた。

二人で二台の車の雪下ろしを終わらせて、真っ白な景色の中で言葉を交わす。

「じゃあ、お疲れ様でした。また明日」

「はい、お疲れ様でした。ご飯、ご馳走様でした」

「あっ、白石さん」

車に乗り込もうとしていた手を止めて、私は彼の方を振り返る。
フードをかぶったままの亘理さんがこちらへ戻ってきて、なんとなく言葉を探すように視線をさ迷わせたあと再び私と目を合わせた。

「あの、食事を終えたばかりで申し訳ないのですが」

「どうかしましたか?」

「また近いうちに一緒に食事に行っていただけませんか?」

……どういうこと?

よく分からないながらも、二人でいられるのならと即座にうなずく。

「それは……もちろんです、行きたいです」

「では、日を改めてまた」


彼の意図がつかめないまま、亘理さんは私に手を振ると自分の車へと戻っていった。
あまり外にいると、せっかく下ろした雪がまた積もりそうなので私も急いで車へ乗り込む。

明日はいつもよりも早く家を出ないと、雪道で道路が凍っていそうなので怖い。

普段よりも数倍気を遣いながら、私はゆっくりと車を発進させた。






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