朝はココアを、夜にはミルクティーを
ソファーに腰かけて、携帯でこの状況を確認する。
電力会社の名前を入力して検索すると、すぐに停電の文字が目に飛び込んできた。
『吹雪の影響で五万戸が停電』
風も強いから、どこかで倒木して電線が切れたのかもしれない。はたまた送電障害か。
そのあたりの詳しい理由は書いてないが、今夜中に復旧するのは難しいようだ。
困ったなあ、寒すぎる。
沸かしたお湯を洗面器とかに入れて、足を温めたら少しはマシになるだろうか?
そんなことを考えて洗面器を取りにお風呂場へ行こうとして、凄まじい衝撃音が外で聞こえて思わずビクッと身体が震えた。
窓から外を見てみても、何があったのかは分からない。
こんなに強い吹雪だから、どこかで事故も起こっているかもしれない。何かが吹っ飛んでくることも考えられる。
すると、そこでヤカンがシュンシュンと鳴り始め、お湯が沸いたことを知らせてくれた。
火を止めて、洗面器を取りに行こうとした時、部屋のインターホンが鳴って驚いた。
こんな時に、誰?
時間も遅いし、宅急便でもなさそうだ。
停電に困ったお隣さんとか?
おそるおそるリビングから玄関の方を眺めていると、またインターホンが鳴る。
そしてすぐに、ドンドンとドアをノックする音がした。
「白石さん、停電は大丈夫ですか!?」
その声は、亘理さんだった。
ビックリと嬉しさが同時にやってきて、心臓が痛いくらいに騒ぎ出す。
意味もなく忍び足で玄関へ向かうと、さっき締めた鍵を開けてドアを開いた。
そこには、数十分前に別れたばかりの亘理さんが立っていて、私の姿を見るとホッとしたように息をついていた。
「……あぁ、良かったです。帰りの車でラジオを聞いていたら、このあたりが停電になったって流れていて、心配で」
「わざわざ来てもらえるなんて。すみません……」
不安が大きかったから、彼を見たら一気に安堵した。
「コンビニでホッカイロ買ってきました。よかったら使ってください」