記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!




「まさか……何かトラブルにでも巻き込まれたのか? 男関係か?」


「ち、違う。そんな訳無いでしょ」


「本当か? 嘘はつくなよ」


「分かってる。ほんと、何でもないから」


 何かあっても誰にも相談しない雪乃の性格を知っている卓馬は、いつだってエスパーかと思うほど読み取る。

 そのせいで、彼女より雪乃を優先することがあり、交際のトラブルに巻き込まれる時もあった。

 女というのは、自分だけを見てほしいと思う生き物だから。

 
「まあいい。そういや、今日の同窓会行くだろ?」


「え? あ……うん、行くよ。今日は香穂も来るみたいだし」


「じゃあ、十五時に迎えに行ってやるから、その時にな」


 短く返事を返すと、通話は切れた。

 自分の失態の大きさに目眩が起こりそうになりながらソファーに座ると、足を引き寄せた。

 こうして安全な場所に帰ってくると、腹部と腰に潜む違和感に気がついた。なんとなく怠くて、体が休めと勧めているように感じる。

 大きめなソファー横になり、クッションを枕に目を瞑ると、すぐに睡魔は襲ってきた。



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