記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!







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 ベッドで寝なかったせいで、抗議の声を上げる体の痛みに目を覚ますと、窓の外からは子供の声が聞こえて来るようになった。

 体を起こして、壁掛けの時計を見れば、針は十四時四十三分を指し示している。


「やばっ!」


 洗面所に急ぎ顔を洗い、うっすらとファンデーションを塗りアイラインを引いて、マスカラをつける。

 最後に、本来の唇の色よりほんの少し明るめの口紅を塗れば、化粧は終わる。

 誰かに見せようだとか、綺麗に見られたいという思いがなければ、この程度で用意は終わる。

 自分の部屋に足早に戻り、黒いロングTシャツに青系のネルシャツを羽織ると濃いめの色合いのジーンズに履き替えた。

 同窓会といっても、卓馬のバーを貸しきってオードブル、スイーツを持ち寄ってするラフなものだ。

 服も畏まったものでないものという、注意書きつきだった。

 雪乃はオードブルを用意する役目を幹事から仰せつかっている。

 けれど、残念なことに流行に疎い雪乃には、どの店のものが喜ばれるのか分からない。基本的に、有名店や初上陸ものの店にも行かないし、人気の店にも行かないのだ。

 そもそも、何時間も並んで食事するということが理解できない。

 人の目が気になる雪乃にとっては、外食をするだけでもかなり高いハードルだ。




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