記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!
話しを聞いてくれている時と同じように、温かく受け入れられると思っていたの雪乃は、スッと狭められた目にスマートフォンを上げていた手を下ろした。
「なに……どうしたの?」
「ほんと、ヒナの周りって男ばかり」
「その言い方……人を逆ハー女みたいに言わないでくれる。趣味が女の子たちとあわないから仕方ないでしょ。女の子たちといるより楽なんだもん」
「はあー、これからも俺はヤキモキしなくちゃいけないのか」
「あのねえ、だったら知りたがらなきゃいいのに」
「いや、気になるだろ。ヒナはイギリス時代の俺のこと、気にならないの?」
気になるか、気にならないかと言われれば、雪乃だって知りたい気持ちはある。しかし、聞いていまさらどうしようもないことで嫉妬するのが嫌だった。
「どうでもいい。どうせ、モテモテだったんでしょ? 男がする留学話なんて、そういう武勇伝じみた話になるに決まってんだから」
「はは、たしかにそうかも。でも、俺が行ったところはそういう雰囲気ではなかったし、落ち着いて学べたよ。歴史的建造物もあるし、幻想的だし、湖水地方は落ち着けて、ヒナに見せたいと思った」
「イギリスね……いまいち私の好きな動物のイメージがないんだよね。どちらかといえばピーターラビットって感じで、ほんわかしちゃって」
「じゃあ、どこが好き?」
「うーん……行ってみたいのは、オオカミがいるアラスカとカナダ、ノルウェーかな。大型のネコ科がいる場所もいいけど、暑いの苦手だし、そっちは動物園でいいやって思っちゃうんだよね」
「日本で行きたいのは?」
「北海道! 知床で野生動物を見たいし、旭山動物園の行動展示も見たいんだよね」
どれもこれも観光とは呼べないものかもしれないが、話をする雪乃の目はきらきらと輝いている。