記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!






「じゃあ、今度一緒に行こうよ」

「え?」

 楽しい想像もそこまでだった。急に体に緊張が走る。
 
「海外でも北海道でもどちらでもいいけど、二人の思い出が欲しいな」

「いやあ~、私……動物を見だすと長いよ? 退屈でしょ?」

「平気だよ。ヒナが楽しそうなら、俺も楽しい。海外? 国内? どっちがいい?」

 国内だったとしても、朔の言い方からして泊まりだということは分かる。
 まだ交際一日も経っていないのに、デートを通り越して泊まりの旅行に誘うなんて破廉恥過ぎると、雪乃は心の中で罵った。

「ちょっと、朔? 私たち、さっき付き合いだしたばかりだよね? それも、お試しって形の」

「ああ、そうだね。だから?」

「だから? じゃなくて。普通の男女交際っていうのには順序があって、まずはお互いの距離を縮めるためにデートをするんじゃないの? それから手を繋いで、キスをして」

 その先を言うのが恥ずかしくて押し黙ると、朔は体を寄せてきて耳元に唇を近づけて囁いた。

「セックスするんでしょ?」

 吐息とともに吐き出された言葉に、ゾクリッとして距離を取ろうとすると、腰に腕を回されて体重をかけられた。
 自然と雪乃はソファーに倒れこむことになり、覆いかぶさった朔が上から見下ろしてくる。




< 101 / 176 >

この作品をシェア

pagetop