記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!
やめたくないと言えば、まるでセックスすることを期待しているように聞こえる。
やめたいと言えば、朔の心を弄んでいるように聞こえる。
それに、雪乃が制止したのは朔とのキスの先に進むのが嫌な訳ではない。
問題はーー。
「そうじゃないの……今日、着けてるの……スポーツブラだから」
あまりの恥ずかしさに、どんどん声が小さくなっていく。
彼の顔を見ていられなくて、俯いて反応を待つことしか出来ない。
経験のない雪乃にとって、色々な情報を得る手段は雑誌やインターネットしかなく、そういった掲示板に書いてあるのは男性が下着次第で萎えるというものばかりだった。
特に好まれない下着の中に、スポーツブラと書かれていたことが頭をよぎる。
「なに? そんなこと気にしてたのか」
「だって、男ってみんなセクシーなランジェリーとかが好きなんでしょ?」
「それって、誰が基準なの? 前の男に何か言われた?」
狭められた目と低くなった声に、雪乃は皮膚が粟立つのを感じた。
「違うよ。世間一般の話……ほら、雑誌とかの特集で読んだから」
「なら、俺がどうかは知らないよね」
そんな言葉と共に、朔の両手がTシャツの裾に伸びて掴むとまくり上げられ、一気にシンプルで機能性に優れた黒いスポーツブラが露になった。
もちろん、レースなんてついてない。
不快な締め付け感や、ワイヤーの痛みがないから好んでいる日常使用だ。
特別感なんて一つもない。
なんの反応もしないことに不安が増していく中、朔は体を起こして布から覗く肌にキスをした。