記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!
「もしかして、来客中でしたか?」
「いいのよ、気にしないで。あなたと同じ理由で来た子たちだから」
恵理子の後に続いて廊下を歩き、リビングに入ると、すぐさま朔の知らない二人の姿があった。
先に口を開いたのは、清潔感があり柔らかい印象の男だった。
「恵理子さん。こちらの方は?」
「この子も雪乃を探しに来たのよ。ところで、いつ日本に戻ってきたの?」
「あ、はい。一ヶ月ほど前です」
「そう、お帰りなさい。それで? 一体、何があったのかしら。この二人は、雪乃の編集者よ。どの電話番号にも出ないんですって」
恵理子はのんびりとお茶を入れ、朔にも座るように促した。六人掛けのダイニングテーブルにつくと、目の前に湯呑みが置かれた。
「恵理子さん! 呑気にお茶してる場合じゃないですよ。雪乃さんに何かあったら」
「大丈夫よ、和人くん。大袈裟ね。あの子が何か思ったときの行き場所なんて、コテージしかないんだから」
「なら、教えてくださいよ。無事でいるか確認してきますから。雪乃さん、強そうに見えて繊細なんですよ?」
たかだか仕事の間柄の人間が雪乃のことについて話すことに、朔は苛立ちのこもった目で睨みつけた。
和人が、仕事相手として以外の目で彼女を見ているのは確かだ。