記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!
14 銀世界に閉じ込められて
「んっ……」
だらりと全身の力を抜いて俯せで目を覚ました雪乃は、カーテンが開いたままの窓の外に広がる景色に、目を背けた。
目を閉じていても分かるほどの、きらきらとした銀世界が広がっている。
雪の予報は聞いていたが、ここまでとは思ってもいなかった。
「雪かきしなきゃ」
最初に思ったのはそんなことだった。もうすでに雪は止んでいる。そのままにしていては、冷たい空気のせいで固くなって雪かきしにくくなってしまう。
なんとなく怠くて、正直な気持ちとしてはこのままベッドで寝てしまいたい気持ちで一杯だ。
けれど、優先すべき順番というものがあると体を起こし、感じたことの肌寒さと関節の痛み、腹部にある違和感に顔をしかめた。
そして、下に視線を落としてーー固まった。
自分は何も身につけていなかった。
その瞬間、どっと昨夜の記憶が戻ってくる。
「あーー!」
昨夜、どれほど朔の下で乱れたかを思い出して、もう一度枕に沈み込んだ。
やってしまった。
今日をどう始めたらいいのか分からない。この雪では、朔が帰ったとは考えにくい。
つまりは、ベッドの中にはいないが、家のどこかにはいるということだ。
どんな顔をして対面すれば。
そんなことに頭を悩ませていると、物音がした。