記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!




「少し声が掠れてるな」

「なんか喉に違和感があって……突然、冷えてきたから風邪でもひいたかな。あっ。いただきます」

 呑気にケチャップを手に取ってハッシュドポテトにかけていると、驚いたような顔の朔がこちらをじっと見ていた。
 
「どうかした?」

 カゴからパンを一つ手に取ると、半分にちぎって温かなパンの香りを吸い込んだ。

「いや、その」

「ん?」

「言いにくいんだけど、それは風邪じゃないと思う」

「どうして?」

「どうしてって……勘弁してくれよ」

 片手で目元を隠した彼は、困ったように笑った。




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