記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!
んぐっ、と食べていたパンを詰まらせそうになった雪乃は、慌てて紅茶で固まりを飲み下した。
「大丈夫? 考えてみてよ……昨日は、かなり普段出さないような声で鳴いてただろ」
「ちょっと、朝から何てこと言うのよ!」
「いや、話しを振ってきたのはヒナだろ」
心外だと言わんばかりに、朔はスクランブルエッグをフォークですくって口にした。
その口元が目について、昨夜ーーこの口でどんなことをされたかも思い出してしまう。
「どうした? 顔が赤いけど」
「なんでもない」
雪乃は極力、前を見ないようにしながら食事を続けた。
気まずい食事の席になるかと思っていたが、それ以上の追求はなく穏やかな時間が過ぎていった。
食器は朝食を作ってくれたお礼に雪乃が洗うと申し出たが、それはあっさりと却下され、一緒にキッチンに立って朔が洗った皿を拭くという役回りになった。
変な感じだった。
今まで、このコテージで誰かと一緒だったことがなかったから、どうしたらいいのか分からない。
ぎこちない動作ですべての食器を片付け終えると、とりあえず先に座っていた朔の隣に座ったのだが落ち着かなくて立ち上がった。