記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!
「どうしたの、ヒナ」
「え? ううん、なんでもない。ただ、雪かきでもしてこようかなって思っただけ」
「だめだよ」
腰に腕が回され、ぐっと引き寄せられると、バランスを崩した雪乃は朔の太ももに横向きに座ることになってしまった。
「ようやく、こうして触ることが出来るんだから、ゆっくりしよう?」
「そんなこと言ったって……あんた、仕事は?」
「平気だよ。いざとなれば、パソコンでテレビ会議に参加すればいいんだから」
抱きしめる腕の中が心地好くて、それ以上なにか言う気が遠退いていく。
窓の外に視線を向ければ、今日が温かな日だということが分かる。放っておいても、少しは雪が溶けて少なくなるかもしれない。
雪乃は、肩から力を抜いて朔にもたれ掛かった。
「ねえ、ヒナ。昨夜のこと、覚えてる?」
「さ、昨夜の……こと……って」
「俺のことが好きだった……欲しかったって言ったの」
覚えていないはずがない。
昨夜はアルコールを一口も飲んでおらず、素面だったのだから。