記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!
「雪乃は、最近どうなの?」
「ん? どうって何が?」
「誰か気になる人とか、彼氏はいないのかな~って思ってさ。あ、お酒の方に行ってもいい?」
バーの方を指差した香穂に頷き、そちらに歩いていくと彼女はテーブルに並べられた飲み切りサイズのボトルのラベルを熱心に吟味すると、一本を選びだしワイングラスに注いだ。
その様子を見守っていると、雪乃も飲むかと聞かれたが首を横に振った。
「今日は実家に泊まってくの?」
「ううん、ホテル。せっかく旦那と子供のことを考えなくていいから、羽伸ばそうと思ってさ。昨日からゆっくり買い物もできたし、明日の夕方の便で帰るわ」
なんだかんだ言いながら、香穂は早く会いたいといった感じだ。
「そうなると、また暫く会えないね」
「会えるのは、雪乃の結婚式かな」
予想もしなかった爆弾をぶっこまれて、雪乃は反応に困った。
「あの~、香穂さん? 結婚は、本人の意思と相手がいないと出来ませんけど?」
「え? だって、彼が」
「作家の先生」
香穂が何かを言おうとしていたのに、割り込んできた声に掻き消されてしまい消えていった。