記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!
「朔……お前は、何を考えてんだよ」
誰にでもなく卓馬は吐き出すと、自宅マンションの地下駐車場へと車を進め、決められた駐車スペースへと停めると乱暴にシートベルトを外して外に出た。
地下駐車場らしい冷たさと、タイヤのゴムと排気ガスの匂いに顔をしかめながら後部座席を開けると、雪乃が身じろいだ。
「んっ……あれ?」
「大丈夫か、雪。わかるか?」
「……卓馬? 同窓会は?」
「綾瀬に任せてきた。覚えてるか? 気を失ったこと」
卓馬は屈むと、ふらふらするのかこめかみを摩る雪乃に手を貸して車から降りるのを手伝った。
「あー、朔と会ったんだっけ」
「ああ」
車の中から雪乃の鞄を拾い上げ、ドアを閉めて鍵をかけると、彼女の腰に手を沿えて歩き出すように促し、エレベーターに歩み寄った卓馬は、車のキーと一緒につけてある鍵をパネルに刺す。
卓馬が住むタワーマンションは、セキュリティーが厳しく、エレベーターも専用の鍵でしか動かない。
おまけに、住んでいる階に直通である。
他人と乗り合わせないという所が、卓馬は煩わしくなくて特に気に入っていた。
流れるような動きで昇っていくエレベーターが最上階で止まると、いくらか彼の肩から力が抜けた。