記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!




「言い訳は結構です。それで、いつ行くの?」

「今すぐだ。すでに浅井さんが下に車を回してるらしい。用意のいいことに、昼の便のチケットまであるんだとさ」

「じゃあ、はやく行かないと」

「という訳で……」

 雪乃と話していたはずの卓馬は、視線を後ろへと向けた。朔が立っているであろう場所に。

「何日か、雪のことを気にかけてくれないか……朔」

「「えっ!」」

 思わず二人の声が重なった。

「な、なに言ってんのよ! 別に子守とか必要ないし。自分の家に帰るし!」

「卓馬……昨日と言ってることが違う気が」

 雪乃もうろたえているが、朔も困惑している。
 
「お前の両親はまだ帰って来ないだろ?」

「別に一人でも平気だし」

「お前、一人だと平気で三食カップヌードルで済ませるだろ?」

「ぐっ……」

 反論出来なかった。正直、一人の時は作るのも買い出しに行くのもめんどくさくて、買い置きしてあるカップヌードルで済ませるのが常だ。
 だからといって、これまで体調を崩したことはない。
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