記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!
「吸わないよ。ついでに言うと、酒も付き合い程度でしか飲まないし、今のところ醜態をさらしたこともない」
「ふーん、そうなんだ」
「ヒナは?」
歩き出すとともに始まった質問に、雪乃は朔を横目で見た。
「嫌味? お酒はたまに飲むけど、#醜態__・__#をさらしたのは、あの日がはじめてです。見合いに連れてかれて、イライラしてたんだからしょうがないでしょ! ついでに言わせてもらえば、酔って次の日……ホテルで目覚めたのだって初めてだかんね」
まくし立てるように言うと、ずんずんとコイン駐車場へと歩いた。
腹の立つことに、大股で雪乃が歩いても彼は涼しい顔でついてくる。そんな彼を心の中で罵りながら、思い出してしまった男らしい上半身に頬が熱くなった。
助手席側に立ち、鍵が開くのを待っている間、記憶を消したくて懸命に別のことを考えようとしていると、手首を掴まれて後ろに引かれた。
突然のことに文句の一つでも言ってやろうとしたけど、振り返った先にあった冷たい表情に声すら奪われてしまった。