記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!
「秋葉さん!」
工房から出て来たのは、ハーブガーデンと工房を管理する水戸秋葉である。
エマの趣味はハーブを育てることや、ハーブティーを飲むことで、秘密のコテージの周りに植えるハーブや使用方法なんかの相談役でたびたびお世話になり仲良くなった。
執筆中は訪れることができず、かれこれ四ヶ月ぶりである。
その間にハーブガーデンは華やかになっていた。
「お久しぶりです、秋葉さん」
「お仕事、一段落ついたのね? 会えて嬉しいわ」
柔らかい微笑みと、彼女の持つ温かな雰囲気に、雪乃の心も穏やかになっていく。
「あら? 彼は、初めてよね?」
「はい。小、中、高と同級生の大上朔です」
そう言って後ろを振り返れば、静かに佇んでいた朔は雪乃の隣に並んで軽く頭を下げた。
「ようこそ、大上さん。わたしは、ここのオーナーの水戸秋葉です。雪乃ちゃんとは仲良くさせてもらってます」
「はじめまして、大上朔です」
いつもの雪乃に向ける笑顔はどこにもなく、胡散臭そうな笑顔で秋葉の差し出した手を握り返す朔に違和感を覚えていると、後ろから咳ばらいが聞こえてきた。