記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!



「女の子って、インスタ映えとかいって、華やかな料理を前にすると、食事そっちのけで写真を撮りはじめるじゃん。ヒナはしないの?」

「ソーシャルネットワーク系はやりません」

「やらないの?」

「やらない。載せてどうする訳? 紹介? 自慢? リア充アピール? そんなことどうでもいいし」

 雪乃にとってスマートフォンは連絡のツールでしかない。
 今はサイバー犯罪だの、詐欺だの危険が多過ぎる。

 好き好んで危険に自らを晒すような真似を、雪乃はしたいとは思わないし、流行に乗らないからといって困ることも死ぬこともない。

「自分の好きな場所を載せて、興味を持たれてこれ以上混む店になられたら困るし」

「そりゃどうも」

 話聞いていたのか、コーンスープとローズマリーのフォッカッチャを置いた隼人は、やれやれと首を振った。
 
「たいして混んでないだろ?」

「今日は私たちが一番乗りなだけで、このあと混んでくるでしょうが」

「まあな」

 厨房に戻っていく隼人に、雪乃は焼きたてのフォッカッチャの皿を引き寄せ、パン切りナイフで切り分けた。

 すぐに戻ってきた隼人は、テーブルにディルを乗せたカルパッチョと塩レモンバジルチキンを置くと「ごゆっくりお召しあがりください」と言って離れていった。

 あつあつのフォッカッチャとスープは、まさに雪乃の好きなメニューで、どんどん進んでしまう。





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