記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!
「どうしたの、ヒナ。食べよう?」
「あ、うん。でも、グラタンの仕上げだけしちゃうから、座って待ってて」
「じゃあ、ポテトサラダとパンは向こうのダイニングテーブルに運んどくね」
「ありがとう」
ポテトサラダの入ったボウルとパンを盛ったかごを手渡し、雪乃はハンバーグを電子レンジに、グラタンをオーブンに入れて時間をセットすると、食器棚を開けた。
「朔? グラスってどこに入ってるの?」
「それなら一番上だよ」
まさかすぐ近くにいるとは思わず、後ろに立たれて頭に朔の着ているシャツが触り、心臓が一気に鼓動を速めて全身を熱くさせた。
(朔はただグラスを取ってくれているだけ!)
何も疚しい気持ちなんてない。ただの親切心だ。
そう思おうと奮闘しても、一度速まった鼓動はなかなか落ち着かない。
「はい。これでいい?」
後ろからグラスを二つ差し出され、喋るたびに息が耳元を掠めていく。
背中にはシャツ越しなのに熱まで感じる。