記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!
「何を考えてるのか知らないけど、俺は学生時代のお友達……なんてポジションに戻りたい訳じゃないよ?」
「だ、だったら、何なの?」
「俺はヒナと付き合いたい。昨日も言ったけど、ヒナのすべてが欲しい。手を繋いで歩きたいし、キスだって数えられないくらいしたいし、ベッドで何もかも忘れるくらい溶け合いたい」
熱っぽい目で見つめられながら、鼓膜に言葉を注がれると、想像力豊かな雪乃の頭の中にはベッドでの淫らな行為が思い浮かんできてしまった。
彼の鍛え上げられた肉体が自分の肌の上で動き、細すぎない腰が足の間で律動していたら、どのくらい気持ちがいいのだろうか。
朔は早急に求めるタイプなのか、丹念に愛撫を与えるタイプなのか。
二度も上半身裸の姿を見てしまえば、誰だってそうだろう。
雪乃だって、健全な大人の女だ。
ましてや、本の中で絡み合う男女のセックスを綴っていたのだから、言ってしまえば仕方がない。
「試しに付き合うでもいい。それでダメだと言うなら、悲しいけど諦める。だから、チャンスをくれないか?」
朔の弱気な発言に、雪乃は頬を緩めた。
すでに彼が好きだという気持ちがある雪乃だが、自分に自信がなく、付き合ってみたら違ったと思われたらどうしようかと不安に思っていただけに、少し気持ちが軽くなった。
「……いいよ」
言葉を口にするのが恥ずかしくて俯き呟くと、受け入れられると思っていなかったのか、朔が息をのむ音が聞こえてきた。