記憶の中のヒツジはオオカミだったようです!




「もう一回言ってくれないか」

「…………」

「ねえ、お願いだから」

「いいよ! チャンスをあげます!!」

 懇願にいたたまれなくなり、雪乃がそう叫び気味に言うと朔に腕を引っ張られ、顔が胸板に押し付けられた。
 
「ありがとう、ヒナ。絶対に後悔させないから」

「はいはい、分かったから……さっさとパン食べないと遅刻するんじゃないの?」

 離された手で朔の背中をぽんぽんと叩き促すが、なかなか離れようとしない。
 
「私はお腹すいてるんだけど?」

「うん。今、コーヒー入れるから、待ってて」

 ようやく腕の拘束を解いて立ち上がった朔は、昔とは違う微笑みを浮かべてからキッチンへと向かった。待っているのも落ち着かず、雪乃もキッチンへ入りすでにパンをのせておいた皿を掴んだ。
 朔はもう一度お湯を沸かし直し、マグカップにコーヒーの粉を入れている。



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