ラブ・マスター？ 【ラブレッスン番外編】

行く手を遮って目にはいったのは首から下げた社員証。




顔写真の横に書かれた名前には




“遠藤　由宇”



そう書かれてた。




嘘……だ





その名前に反応しかけて思い留まる。



また同じ過ち繰り返してどうする。


加藤さんの事で反省しただろ？


期待したってまた違うに決まってる。



『……どいてくれる？』






明らかに邪険にされてるとわかる口調にこっちもムッとしてしまう。



期待したわけじゃない
確認してるだけだ。



この人もあの時の由宇さんじゃないって確証が欲しいだけさ。



顔に出さないように無表情を意識して、そう思いながら

片手で首から下げた社員証を持ち上げてもう一度見直した。




「企画部の遠藤由宇さん、ね…」




加藤さんの時とは違って苗字も一緒。



もう一度顔を見つめる。



すだれの様に顔にかかった長い前髪と、顔の大きさに合わないメガネが邪魔でよくわからない。





もっと




もっとよく見なくちゃ