ラブ・マスター? 【ラブレッスン番外編】
仕事へ戻る前に立ち寄ったトイレで、相田部長と鉢合わせた。




生憎トイレには部長一人で中に入らずに開けたドアを閉めたくなる。




軽く会釈をして、二つ空けて用を足す俺に対して、洗面台へと向かう部長。





『最近調子はどう?』





洗面台から水が流れる音と一緒に聞こえる部長の言葉に体がピクリと反応した。

チラリと見るとこちらを見ることなく手を洗いながら尋ねてきた様子だ。





「変わりなく普通です」




だから俺も正面に向き直ってから答えた。





『それは良かった。
でも変わりない状況を打破しなきゃ上を望めないよ?
安定した状況に安心してちゃダメだ』





部長が聞いてるのは仕事の事だ。部署は違えど目上の立場に違いない。そうは思っていても険が出てしまう。




俺はジェットタオルで手を乾かし始める部長に言い返してしまっていた。




「相田部長も同じじゃないんですか?
安心してると失うかもしれませんよ?」



漠然とした言い回し。だけど部長は何の事かきっとわかってるだろう。



用を足して手を洗いながら言った言葉は、俺の願望。




部長が安心してる内にかっさらえたらどんなにいいだろうっていう願望から出た言葉。




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