零度の華 Ⅱ
『最初に言っておく。どんな話になろうと決してここから出ようとせず、16時まで付き合え。約束できなければ話さない』
「いいだろう。約束する」
デジタル式の時計にはPM1:10の数字が映し出される
約3時間、ここにいてくれれば暇は潰せる
『約束だぞ』
「あぁ」
馬鹿だな
そう思いながら、背を鉄格子に預けてあたしを見る男と視線を交える
『零(ゼロ)の情報なんてないよ?』
「は?」
眉間に皺が寄る
一気に不機嫌になった
『零(ゼロ)の情報なんて持ってたら、とっくに鷹見に教えている。ここから出たいし』
「テメェ、俺を嵌めたのか」
『嵌めてなんかない。零(ゼロ)の情報がないっていうのもちゃんとした情報じゃないか』
ニヤッと含みのある笑みを見せると舌打ちをして、ここから出て行こうとした