零度の華 Ⅱ
あたしは小刀を抜き、鼠(マウス)の最期を見届けることなくその場を去った
小刀で刺されたぐらいならば、追いかけることは不可能ではないが、小刀にはあらかじめ毒を塗っていたため動けないだろう
鼠(マウス)はあたしの背中が見えるのに、動くことができず歯痒いだろうな
ドサッと倒れる音がする
それから少しして、後ろの方で騒ぎになっているのが耳に届く
あたしは知りながらも目もくれず、ただ家路へと足を進めた
『ただいま』
「おかえりなさい」
家では亜紀が出迎えてくれる
無意識に『ただいま』と言ったのはこの生活に慣れてしまったからだろうか
ほんの数ヶ月前までは1人だったいうのに、不思議なものだ
「終わりましたか?」
『あぁ、一応な』
「曖昧な言い方ですね」
全てが終わったとは言い切れない
まだ、最後にアイツ等が残っているからな