零度の華 Ⅱ
あたしから逃げる気であるのであれば、転々としたほうが嗅ぎつけられない
携帯電話の画面に映し出された条件を満たした物件は10件も見つかった
虱潰しに一軒一軒回るのは疲れるという言葉では済まない
これは亜紀からの連絡を待った方がいい
あたしは携帯電話をテーブルに置き、頼んだアイスティーの入ったガラスコップを手に取り、口に含む
そして、喉を潤した
亜紀に電話をしてから20分が経過したところで、やっと連絡がきた
『遅い』
「これでも急いだんですよ」
『それで、情報は?』
「ダメでした。頑丈にロックしてされていて、私では情報を引き出すことはできませんでした」
『......フッ。分かった。今から戻る』
電話を切って帰り支度をして店を出た
虱潰しなんて手間がかかることなんてしない
それよりも今は時間が惜しいからな
あたしは不気味に笑みをこぼしながら、家路へと進む