零度の華 Ⅱ


倒れ込む沙也加を他所に、泣き声が聞こえる方へと歩く


「だ、め...」


必死に止めようとする沙也加の声は弱い


あたしは涙を流し泣きじゃくる、赤ん坊の前で足を止め短刀を鞘に収める

その子を抱き上げる


一応と思い調べてみた産婦人科

そこには沙也加の名があった

もう分かるが、沙也加は子供を産んでいた


そのことをXに伝えていなかったのかは知らないが、残っていたことであたしはこの場所を特定できた




泣く赤ん坊を宥めるように背中を優しく叩く



「触れ、ない、で。その子、だけは、殺さ...ないで」


『殺されたくなければ、橘ヒロの居場所を教えろ』




痛みに苦しみ、選択することに苦しむ沙也加




『教えてくれれば、お前も助けてやる』


「......教えない。わた、しだけ...助かる、なんて...できない」


『あっそ、じゃあコイツを殺す』



短刀をチラつけると沙也加は苦しみながらも「止めて」と声を上げる


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