零度の華 Ⅱ
『お前に迷惑かける気はない』
あたしは赤ん坊から離れて椅子に座る
亜紀もあたしに続き椅子に座ると足を組んで向かい合う
「そう言えば、大きな音を出したのにも関わらず、誰も来ないというのは珍しいですね。危険を察した住人が警察を呼んでいたらどうするのですか?」
『構わない』
「どう回避するというんです?」
『さぁな、それはその時考える』
「本当、貴女はマイペースすぎます。でも、警察が来たら橘ヒロを殺せなくなりますよ」
確かに亜紀の言うことは一理ある
橘を待っている最中に警察が来れば待つことを諦め、逃げることを考える
警察を殺すという手もあるが、応援を呼ばれ人数が増えれば、それだけ無駄な体力も使うことになる
それだけは避けたい
だが、逃げた後に橘が事情聴取を受けることになり、そこで元殺し屋と発覚し、ムショへと連行されるのも許せない
『運や奇跡ってやつに頼ってみるか』
「そんなものを信じるのですか?」
『信じるさ。世の中には説明できないことがあるからな』
亜紀はへぇと意味深にあたしを見る