零度の華 Ⅱ
怒鳴り付けずに、そこは喜んでほしいところだな
大切な人を殺して欲しいと依頼した依頼主を殺したのだから
まぁ、コイツにとっては依頼主よりもあたしに対しての怒りの方が大きいから、こんなことを言っても無駄だということは分かっていたが......
依頼者である花田を殺したのは単純だ
アイツがあたしとのルールを破ったから
そのルールの内容は忘れてしまったが、さほど重要なことではなかったはず
遠藤の目を見ながらあたしは遠藤の質問にしっかりと答える
『人の命なんざ、"ただのモノ"でしかない』
誰が命に大小をつけた?
誰が、人間は食物連鎖のピラミッド上の頂点だと言った?
ありとあらゆる物の命を奪い食らうからか?
道具を使うことで命を守る術を持つからか?
簡単に命を奪っている人間が、当たり前のように食べ、当たり前のようにあるものだと考える人間がいる中で、今更人の命だと問うのか?
この世で一番、残酷で脆く、醜い生き物の人間を、人間の命をそれだけの"モノ"だと思って何が悪い
楽しむための玩具と思って何が悪い
「お前自身の命も"ただのモノ"か?」
『そうだ。それ以上でもそれ以下でもない』
「殺人鬼の言うことは理解できない」