零度の華 Ⅱ
あたしと一緒にいることが警察に見られれば、零(ゼロ)あるいはプログレスだと言っているようなもの
だが、遠藤は犯罪を犯したわけではないから捕まるわけじゃない
せいぜい懲戒免職と言ったところだろう
警察官でありながら国民に不安を抱かせ、騒ぎを起こしたのだから
逃れられないだろうな
上に報告すればの話だが
サイレンの音が大きく鳴り響いていると思えば、止まった
恐らく、あたし達の側まで来ている
遠藤はどうすればいいか考えているようだった
『たまたま、通りかかったら銃声が聞こえたので駆けつけたら、あたしがいた。抵抗するから撃ったと言えば通るだろ』
「俺を、庇おうとしているのか」
『そうだ。ここであたしから離れれば、聞きたいことも聞けずに終わってしまうだろ?あたしが捕まった後も鷹見の側にいれば、お前の質問に全部答えてやるよ』
この言葉に嘘はない
それはコイツだけに言えることじゃなく、鷹見も含む
もう、嘘や偽りを混ぜて話しても無意味だからな
だが、亜紀の存在は伏せさせてもらう
アイツにはまだ仕事をしてもらいたい
そんなことを考えていると警官が戦闘態勢でぞろぞろとあたし達2人を囲み、ゆっくり鷹見が近づいてくる
そして、真っ先に声をかけたのは、あたしではなく遠藤にだった