零度の華 Ⅱ


ふと、月を見た

月は赤く血の色を帯びて、いつもより大きく不気味に輝く



そして、あたしの前に立つ2人


『つくづくあたしの嫌な予感は当たる。でも、まさか、正夢になろうとはな』


「何を言っている」


『気にするな、こっちの話だ』



確か、夢の中ではここであたしは何かを思いつき、笑って話をしていたな




「お前には聞きたいことが山ほどある。まずは病院で手当てをしてからだ。先に言っておくが、確実にお前は死刑だからな」


『フッ』




あたしは自嘲的に笑った



「何が可笑しい」



遠藤は自嘲的に笑ったあたしに対して、理解できないと言っている


『あたしも墜ちたもんだなと思ってな』



サツに捕まる羽目となり、言うことを聞かない体、挙句の果てに命乞いをするような夢の中のあたし

あたしはアレを笑って言っていたなんて思うと自分に嫌気がさす


だが、他人に自分の命を終わらせられるのは気にくわない



命を繋ぐなら言う価値はあるが気は進まない



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