直感的結婚~恋はこれから~
明日の夜に行くのでも良かったのだけど、今夜から私たちがこっちに来ると話したら、今夜連れてこいとなったらしい。

いつの間にかそんな話になっていたとは……全く心構えが出来ていない。

泰士さんは平然とした顔をしている。彼は緊張することはないのだろうか。私の方がきっと緊張している。

大体こんな遅い時間に連れてこいとは、嫌な予感しかしない。


ドキドキしながら実家の玄関をくぐり、まずは母と対面。


「おかえりなさい」

「夜分遅くに申し訳ありません。はじめまして、柏原です」

「まあ、どうも。とりあえず、あがって、あがって」

「おじゃまします」


母に引っ張られ、幸哉に押され、私たちはリビングではなく、その隣の部屋である和室に通された。

そこには一人ポツンと腕を組んで、あぐらをかいている目を閉じている父の姿があった。

隣に立つ泰士さんの唾を飲み込む音が微かに聞こえて、私は彼を見上げた。緊張していないように見えたが、彼なりに緊張していたようだ。
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