直感的結婚~恋はこれから~
「あれ、楽しそうですよね。濡れるかもしれないけど」

「どれ? あー、ウォーターなんとかってやつ?」

「えっ……あ、はい! そうですけど」


指差すものを正確に見ようとしたのか、泰士さんは私の隣に移ってきた。

重みが片方だけになった観覧車の箱は傾く。だけど、彼はそれに気にすることなく話し掛けてくる。


「降りたらあれに乗って、そのあとでお弁当を食べよう」

「そうですね……」

「ん? なに?」


静かに返す私を彼は怪訝そうな顔で見る。

私の声が小さくなってしまうのは隣に座る泰士さんが近くて、肩や足が密着しているからだ。

おまけに顔まで近付けてきた。息がかかりそなくらい近い。

近すぎじゃない?


「ち、近くないですか?」

「近いね。近付いているんだから当然だよ」

「当然なんですか?」


至近距離にいる泰士さんの顔をチラッと見ると目が合った。本当に近くて、彼の瞳に私が映っているのも分かる。

こんな近くで見られていると思うだけで恥ずかしくなる。きっと私の顔は赤くなっている。
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