溺愛はいらない。
『おいで、りぃ』
目の前で広げられた片腕。
ああ、もうこの人も、自分自身も騙すことはできない。
だって、私の心は、こんなにも彼の胸に飛びつきたいって叫んでる。
また、私は彼のそばに戻っていいのだろうか?
彼に愛されて、私の愛の形が歪まないのだろうか?
最後に、私の理性がそんなことを問いかけたような気がしたけれど、身体は彼の方へと向かっていく。
吸い込まれるように、彼の胸に抱きついた瞬間、真上にあった傘が下されて、次の瞬間––唇を奪われた。
「んっ……!」
触れただけで感じた熱。
いつのまにか腰に回された彼の腕の力で、もう放さないと言われているようだった。
「んんっ、芯…ッ」
唇を重ねる行為自体久しぶりのせいか、彼から降り注ぐ熱い口付けに息の仕方がわからなくなる。
もう5年も経つと言うのに、私が感じるポイントをしっかり押さえてくるせいで、全身の力が入らない。
『まだ、足りない。』
「〜〜っ」
情熱的な瞳で見つめられたら、もう何も言えない。
昔も今も、私は彼のこういったものに弱いのだ。
つくづく思わせられるのは、足りないと思っているのは芯だけじゃなくて、私もだってこと。