溺愛はいらない。



––翌日


腰が、痛い……

あれから、彼の家に連れ込まれて、一晩中彼に愛され続けたせいか、私の体はボロボロだ。

だけど、私はこれから会社に向かわなければならない。


5年前は、こんな時講義をサボったりしていたけど––私だってあれから成長した。

腰の辛さを我慢して出社しなきゃいけないことくらいわかってる。


隣で安心しきった子どものようにスヤスヤと眠る芯を起こさないように静かにベッドから抜け出した。

芯の家は5年前と全く変わっていなかったから驚いた。

そのことを彼に言うと、私がいつ戻ってきてもいいように、インテリアや内装、物の配置まで変えなかったらしい。

そこに若干の狂気を感じたが、そこも芯の私への深い愛から来るものだと身にしみて感じていたために、特に何も思わないことにした。


お風呂には入ったけど、さすがに昨日と同じスーツでは出社できないから、やっぱり一回、家に帰んないとな…。


『りぃ』

「っ」


ベッドのそばにあった自分のカバンを漁っていると、突然背中にかかった重たい何か。

すぐ耳元で聞こえた一段と低い声に、芯だと察した私の肩に、彼は顎をコツンと乗っけて来る。


『もう行くの?』

「うん、スーツ着替えないと、」

『帰りは?』

「え?」


何時になる?と、平然と聞いて来るあたり、きっと彼の中ではもう私はここに住むと決まっているのだろう。

そんな少し強引で独占欲が強いところも、5年前と変わっていない。…いや、強くなってるのかもしれない、と昨晩首の付け根に思いっきり付けられたキスマークを思い出した。



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