嘘は輝(ひかり)への道しるべ
 手術から一か月程経ち、のどかからメールが届いた。

 手術の後のリハビリも順調で、愛輝の送ったソックスを毎日選ぶのが楽みらしい。

 そして、どうしても渡したい物があるから、明日必ず病院に来て欲しいと送られてきた。



 愛輝は、仕事の合間を見つけて病院へ行く事にした。

 のどかの病室へ向かう病院の廊下を歩いていた。


「愛輝さん!」

 のどかの声が後ろから聞こえ、愛輝は振り向いた。


「のどかちゃん」

 愛輝はのどかに笑顔を向けた


「愛輝さんそこで見ていて!」

 のどかは、車椅子にブレーキをかけ手すりにつかまった。

 ゆっくりと力を入れると立ち上がった。


「わ――っ」

 愛輝は声を上げた。

 すると、のどかはそのまま手すりから手を放した。


「まだ、歩くとこまでは行かなんだけど、一人で立てるようになったの」



 のどかの姿に、愛輝は涙が溢れ出しそのまま立ちつくしてしまった。

 本当に嬉しかったのだ。



 真二が見たら、どれほど喜ぶだろうか……



 愛輝はのどかの車椅子を押し、庭のベンチへと向かった。


「久しぶりに、リョウさんが来たの。昔はよく家に遊びに来ていたんだけどね。これ、愛輝さんに渡してくれって」

 のどかが一枚の封筒を出した。

 愛輝は封筒を開け一枚の紙を出した。

 『川島リョウ! 全国コンサートツアーチケット』の文字が愛輝の目に入った。
 東京公演、日時は明日だ。


「のどかちゃん、これ……」


「リョウさんが、ツアーの最終日のチケットだって。絶対に来くるように言ってくれって、頼まれたんだから!」

「でも、私…… 予定も入っているし……」


「私だって辛いリハビリ頑張っているんだよ。立って手を放すのにどれだけ勇気がいたか?でも、一人で歩いて前に進まなきゃ、って思って…… 愛輝さんも勇気出して! 大丈夫よ、こんな大きな会場じゃ、お兄ちゃんから愛輝さんは見えないよ」


「うん…… ありがとう」

 愛輝はチケットを胸に抱き目を閉じた。


 
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