嘘は輝(ひかり)への道しるべ
 開演時間まで後一時間、愛輝はまだ撮影の控室に居た。

 鏡に映るヒカリの姿の自分を見ていた愛輝は覚悟を決めた。


「兄さん、美香ちゃん!」

 愛輝は、控室にいた祐介と美香にチケットを見せた。


「なんでもっと早く言わないのよ!」

 美香が苛立って声を上げた。


「ごめん…… どうしようか悩んでいて……」




「愛輝、おまえ行きたいのか?」

 祐介が、問いただすように愛輝を見た。


「うん。行かなきゃ後悔するような気がする。遠くからでいいの、真二くんに会いたい…… でないと私、何も決められない……」

 愛輝が、迷いの無い真直ぐな目を祐介に向けた。


「分かった。ここからなら会場までそう遠くない。急いで行けば間に合うだろう」


「兄さん……」


「だいたいの撮影は終わっているし、後の事は旨く誤魔化しておくから心配するな……」


「全くもう!」

 美香が慌てて、控室から飛び出して行った。


「ありがとう……」

 愛輝の小さな声に、


「いい友達を持ったな」

 祐介がほほ笑み、ヒカリのメイクを落とし始めた。



 髪型を戻すと、愛輝は真二からもらったガラスの靴のペンダントを胸に着け、急いで会場へと走った。



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