嘘は輝(ひかり)への道しるべ

 開演五分前、愛輝は会場に入った。


 会場は三階まで満席で女性ファンだけでなく男性も多く、中には子供連れで来ている客も居た。

 愛輝はチケットを確認しながら前へ進むと、ステージの前まで来てしまった。

 右の一番端が空いている。
 チケットの座席番号と同じだ。
 仕方なく愛輝は一番前の席に腰を下ろした。


 隣には三人組の女の子が、ツアーTシャツを着て始まりを待ちきれない様子で興奮している。

「良かったですね、間に合って… ファンクラブでも、この席取るのに大変でしたよね」

 隣りの席の若い女の子が声を掛けてきた。


「ええ」

 と愛輝が答えた瞬間、会場のライトが消え、ステージに人影が映った。



 愛輝の前にサングラスをした真二が、ギターを肩に掛けて立った。


 愛輝は、久しぶりに見る真二の姿に胸が熱くなり


「真二くん……」


 思わず呟くように声が漏れた。
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