最初で最後の恋だから。ーセンセイー
「哲君~。」

十組にくるのは初めてだった。

部屋に入っていく紗智に私は躊躇う。

数人の男女の後ろ姿が見える。

「紗智。」

「数学教えて~、ゆずちゃんも一緒だなんだ。」

「クラスの奴らも一緒なんだけど、いいのか?」

古賀君が私を見た。

私は小さく横に首を振った。

まだ、知らない誰かと繋がるのは怖かった。

「私、帰るね。」

「えー?
ゆずちゃんも一緒がいい。」

「紗智、我が儘言うなよ。」

「ごめんね。
またね、紗智、古賀君。」

私は昇降口に向かった。
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