最初で最後の恋だから。ーセンセイー
「ただいま」

帰宅すると母は洗濯物をたたんでいた。

隣に座って洗濯物に手を伸ばした。

「お母さん。
私、クラス選択出したから。
・・・国際クラスにした。」

「どうしてそんな勝手な事!」

母の顔を見るのが怖かった。

でも今、引き下がったら夢が遠のいてしまう。

「私はお姉ちゃんとは違う。
私には私の夢があるの。」

母は黙ってその場を離れてしまった。

(どうしたら解って貰えるんだろう)

母を追い掛ける事はしなかった。

洗濯物を片付けて自室に戻ると幼い頃の記憶を辿った。

母は厳しい人だった。

素直に言うことを聞いていれば怒られないからいつしかそうするようになった。

今思えば人形みたいだ。

私はもう自分の足で立つことが出来る。

(お母さん)

私は自分で自分の道を歩いてみたい。
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