最初で最後の恋だから。ーセンセイー
ランチタイムの後の授業は眠気に目が閉じそうになる。

今は国語の時間中だった。

伊藤先生の授業は解りやすいし何より黒板の字が綺麗でいい。

目をこすりながらノートをとっていると先生と目が合った。

さっきの紗智の言葉を思い出して私は思わず目を反らした。

(紗智が変なこと言うから)

授業が終わると私は教室を飛び出して、図書館へ向かった。

(本を読んで心を落ち着けよう)

図書館はいつも見る人たちばかりだ。

「柚依。」

「古賀君。」

「今日、当番だっけ?」

「違うけど。」

「お前が走っていくのが見えたから・・・気になって。
話せる事なら聞いてやるけど。」

茶道部室に鍵がかかっているのを確認して非常階段に座った。

「先生の事意識し過ぎちゃうというか。」

「それ、俺に言うか?」

「・・・ごめんなさい。」

「冗談だよ。」

私は紗智との会話を話した。

「俺もそう思う。
進学クラスは勉強だけだし。
でも、国際クラスだと一緒のクラスにはなれないな。
俺は進学クラスにしたんだ。」

「バラバラだね。」

「クラスが違っても何も変わらないから。」

「うん。」

図書館に戻ると私は読書に没頭した。

敢えて普段読まないジャンルの本を選んで読んでみた。

(たまにはいいかも)

一冊を読み終えるともう閉館時間近かった。

少し気が重いけど家に帰ることにした。

クラス選択の報告はしなければいけない。
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