最初で最後の恋だから。ーセンセイー
私の父は小学校低学年の時に亡くなっている。

父は真面目で優しい人で私はそんな父が大好きだった。

父が癌だったと知ったのは亡くなってからずっと後の事で当時は胃の病気だと聞かされていたから死んでしまうなんて思わなかった。

亡くなるその日まで頭を撫でてくれた父を思い出すと今でも悲しくなる。

「柚依?」

母に呼びかけたままだった。

「ごめんなさい。」

「話って?」

「その、お母さんはスクールカウンセラーの事知ってたのかなって。」

「あなたからカウンセラーになりたいって聞かされた後母さんなりに調べたけれど。」

「・・・本当にいいの?
時間も費用も掛かるのに。」

「辛くても道半ばで諦めてしまわない事、それだけ覚えていなさい。
余計な事は考えなくていいから。」

母さんは私に背を向けて食器を洗い始めたので私はハーブティーを持って自室へ向かった。

勉強時間を増やす事にしてマフラーは昼休みに編もうと決めた。

2年からは国際クラスに進む予定になっているから国語と数学の時間を補うための自主勉強が必要になる。

国語より数学の方が苦手なので学に重点を置かなくてはならない。

机に向かって2時間もするとしんどくなってきた。

苦手教科の勉強というのはどうしてこんなにも苦痛なのか。

気分転換をしようとカーテンを開けた。

(気にしないようにしてるのにな)

星を見ると思い出してしまう。

先生の机に置かれた星形の灰皿を。

(勉強しよう)

もやもやした気持ちのまま勉強を再開したけれどあまり進まなかった。
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